トップ  >  研修生のはなし  >  【2015年国際研修】バブ・ベンカシュ(ボブ)さん :ANITRA

2015年 国際研修報告=変化を生み出すために=

バブ・ベンカシュ(ボブ)さん 

インド ANITRA

 

チェンナイから西に100キロほど入ったところにディーナバンドゥ村があります。

ANITRA(アジア研修・調査・活動ネットワーク)はここを拠点に、ダリット(※)や先住民の人々が、

生活改善や権利の回復のために行政に働きかけることを支援しています。

具体的には、村会議員、特にダリット議員や女性議員を対象とした権利に関する研修、

人権侵害などの法律相談、社会への啓発キャンペーン、住民の意識を高め組織化するといった取り組みです。
これまでボブさんは侵害された人権の回復を要求する対象として、行政をみてきました。

従来のダリット解放運動では不公正の根源はカースト制度にあるとし、行政やカースト内の人と対峙し、

まずはダリットという周縁化された階層の権利の回復のために活動してきました。

実はボブさん自身がダリットの出身で、差別された経験もあります。
またインドでは2002年に情報公開法が施行されました。

ANITRAを含めたNGOや住民組織はこれをテコにして、行政に改善を要求する活動を進めています。
ボブさんは国際研修の中で、RBAの話し合いを担当しました。

RBA(Right Based Approach=権利に基づくアプローチ)は、

貧しい人たちの抱える諸問題を「権利が守られていない状態」として捉え、その権利が守られるためには、

誰がどのような責任と義務を果たすべきかという観点から、課題の解決を考える方法です。

権利保有者である貧しい人々と義務履行者である行政が、それぞれにその役割を果たせるように、

双方を強化し連携させて、住民たちの活動を継続的なものにすることに特徴があります。
しかし行政に対して「対峙」することが活動の中心であったボブさんにとって、

RBAのあり方はなかなか理解しがたいことでした。


そういったボブさんにとって、ハッピーマップ(障がいをもつ人とその支援者のグループ)との話し合いの時の、

市民参加に協力的な市職員との出会いは、とても大きなものとなりました。

彼にとっては、模範となる人に直接出会うことが重要だったのです。

行政と市民が相互に協力し、補い合うあり方が可能であるし、必要であることに気がつきました。

この事例とあわせて「参加型地方自治とグッドガバナンス」という議論を国際研修で深めていきました。
彼の研修後の活動計画には、行政と協働するためのANITRAの同僚に向けての研修、

末端の行政や首長への働きかけと彼らへの研修などが組み込まれ、

平和委員会の組織化(行政、NGO、住民組織、住民が構成メンバー)により、

カースト内の人とダリットが共生した地域社会づくりが掲げられていました。
今後、上司であるフローレンスさん(国際研修2009年)や、同期で同じインドの研修生パンダさんとの連携によって、

彼の活動計画も実現可能性を高めていくことができると考えます。
(職員 中島隆宏)


(※)ダリットとはカースト制度の外におかれた被差別民衆のこと。

プリンタ用画面
前
研修生のはなし
カテゴリートップ
研修生のはなし
次
【2015年国際研修】ビシュヌマニ・ネパール(ビシュヌマニ)さん :SSS