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カンナロさんの願い

カンナロさん 2001年度国際研修研修生

国:カンボジア

地域:カンボジア各地

団体:PADEK(Partnership for Development in Kampuchea:カンプチア開発パートナーシップ)

   

70 年代のポル・ポト政権下、虐殺などにより170~200万人が亡くなったといわれる力ンボジア。30年を経た今も、人びとは過去の記憶に苦しんでいます。その中で、ケップ・カンナロさんは、日々の生活から平和への意識を高めようと努めています。以下は昨年10月の講演の記録です。

抄訳:職員 清水香子

 

今のカンボジアに必要なのは、人間同士の信頼を回復すること

ポル・ポトが政権を握った時、私は10歳でした。家族は離散し弟を失いました。そしてポル・ポト派の少年兵として、家族友人をも監視し殺す訓練を受けました。そうした少年時代を過ごした私が強く思うのは、今カンボジアに必要なのは、人間同士の信頼を回復すること、そしてそれが二度と同じ悲劇を繰り返さないことにつながるのだ、ということです。

 

今日、難民キャンプにいた人々や、ポル・ポトについてタイ国境へと移った人々の多くが故郷へ戻っています。けれどもいまだ人々は、話し合いをする、率直に意見を交わすということに恐れがあります。間題があればすぐに銃で解決しようとします。信じられるのは自分だけ、自分を守るのは武器だけだと感じているからです。

地雷の撤去は進みましたが、まだ銃は人々の身近にあります。またうわさに左右されやすく、2003 年にはタイの女優の一言が発端となってタイ大使館やタイの企業を狙った暴動が起こりました。その多くが若者でした。

 

人々の信頼関係づくりのための「もめごと解決ボランティア」

こうした状況から、私の団体PADEK(Partnership for Development in Kampuchea:カンプチア開発パートナーシップ)では、元ポル・ポト派支配地域の村々で、従来の保健や農業支援の活動に、人々の信頼関係づくりの活動を組み込むことができないかと考えました。それが、村の「もめごと解決ボランティア」というアイディアです。

 

PADEKでは、まず各村に、村の人々によるグループを作ります。その10~20人のメンバーが村の様々な問題を話し合います。そこで出た課題は、保健や農業など内容に応じ、その分野の経験や知識のある村の人が中心になってとりくみます。彼らはグループによって選ばれ、

PADEKの研修を受けた「専門ボランティア」と呼ばれる人たちで、男女一人ずついます。そのーつとして、もめごと解決の専門ボランティアを作りました。彼らは村の開発委員会にも出席し、自分たちだけで解決できないものには、提案をし、協力をよびかけます。

 

 村でよくある争いは、土地や家畜に関するものです。自分の所有地を示す柵をどこに作るのかで隣の人といさかいが起こります。放牧した牛が他人の畑の米を食べてしまい、怒った畑の所有者が牛を殺してしまうという事件にまで発展することもあります。ある時、村はずれに住む人がまじないによって村の人を病気にしている、という苦情がグループに持ち込まれました。もめごと解決ボランティアとともに調べてみると、実際は、不衛生な水を飲んだり蚊帳を使わないことによる、マラリヤやデング熱が原因でした。そこで、保健担当の専門ボランティアや保健センターのスタッフと協力し、病気の原因を村の人に説明する会を開きました。

 

力でなく、話し合いでの解決がカンボジア全体の平和づくりにつながる

力で解決するのでなく、根本の原因を調べる。そして、話し合いながら解決の糸口をさぐる。こうした視点や姿勢を、特に次の世代を担う若い人たちに伝えたいと思います。それによって偏見や差別をなくし、また一方的な情報によって左右されない価値観や知識を身につけてほしいと願うのです。それが、カンボジア全体の平和づくりにつながっていくと信じています。

 

AHI職員より

それまで PADEK の代表は外国人でしたが、力ンナロさんが AHI で研修を受けた後、初の力ンボジア人の代表として運営を任されました。活動面では AHIでの学びを生かし、もっばら農業中心の開発から、住民参加と行政との連携による包括的な農村開発の道を歩み出しました。現在 200 名の職員を抱え、欧米のいくつもの資金援助団体から支援を受け、力ンボジアの NGO といえば PADEK といわれます。その代表である力ンナ口さんが 10 年ぶりに AHI を再訪して私たちに言った言葉が忘れられません。

「AHIは資金援助面では欧米のNGOにかなわないが、私たちは、いつまでも大切なパートナーとしてAHIとつきあっていきます。」

 

AHI会報「アジアの健康」2011年4月号より

 

2013年3月、カンナロさんが日本各地で講演をします!

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