【写真】2017年12月撮影 スリランカ北部キリノッチ県
子どもたちにボランティアで勉強を教えている若者。活動を終えて、家路につく。
ニュースでも報じられているとおり、
スリランカでは深刻なインフラ、経済危機が起き、
この事態を招いた政府に対する、市民の抗議活動が拡大しています。
きっかけは昨年、政府が化学肥料の輸入禁止を決めたこと。その決定の動機は、
① 環境や健康に悪影響を与える化学肥料の使用をやめ、有機農業に転換する
② 外貨の流出を防ぐ
②についてもう少し説明すると・・・
中国は一帯一路政策のもと、スリランカで大規模なインフラ開発事業を実施してきました。
スリランカは中国に莫大な債務を負うこととなり、返済ができなくなっています。
その追い打ちとなったのがコロナ。海外からの観光客が途絶え、外貨収入が減りました。
スリランカ政府は外貨を、食糧・医薬品・燃料などの生活必需品の購入にあてることとし、
化学肥料のほかに、バイクや自動車などの輸入も禁止しました。
しかし化学肥料を使用しないことで農業生産力が落ちることを懸念した農民団体や
農業関係の企業からの反発があったばかりでなく、
ローカルの市場では農作物の価格が上がり、市民の生活を圧迫しました。
さらに中国からの圧力もあって、結局、半年ほどで化学肥料の輸入禁止は解かれました。
外貨不足は深刻化し、ついには発電用の燃料や天然ガスを必要なだけ買うことが
できなくなり、計画停電が拡大しました。
コロナが落ち着いて、県をまたぐ移動制限はなくなりましたが、
飲食店は、調理に使う燃料を得られないので休業を続けているそうです。
NGO 全国漁民連帯運動のスタッフはこんなふうに言っていました。
「スリランカ政府は、市民生活に必要な燃料を買わずに、貴重な外貨で、
環境汚染と、健康被害と、地域経済の破壊を買っている。
このままでは、スリランカという国に未来はない・・・」
職員 髙田