写真:医療チームによる巡回診療 (RDC提供)
以前は、最寄りの保健センターに行くには、バス停まで12km以上歩き、
そこから50kmの道のりをバスに揺られなくてはいけませんでした。
今は医療チームが集落まで来てくれます。
とはいえ、2つのチームで120の集落を巡回するため、訪問の頻度は十分とはいえません。
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今月、月曜日と木曜日のブログは、
AHIニュース6月号「『信じて任せる。』スターリンさんの次世代の育て方」
に関連するエピソードです。
第4回目の今日は、2002年から2004年までのスターリンさんの活動をご紹介します。
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クリシュナギリの森に暮らすイルラの大人たちのほとんどは、
読み書きができません。
したがって集落や各家庭やそれぞれの生活習慣等についての
統計や記録などはありません。
イルラの全体像や生活の実態を知るためには、
スターリンさん自身が情報を集めてまわるほかありませんでした。
スターリンさんはふたたび衣類、米、薬ほか生活必需品を携えて、
先に訪れた集落を訪れました。
家々を訪問して、物資を配り、生活について尋ねました。
男性たちは、昼間は狩りや採集に出かけているため、
たいていは女性や子ども、高齢の人たちが話をしてくれました。
そして他の集落の所在を教えてもらい、
次にそこを訪問する、ということを、2年間続けました。
スターリンさんは2年をかけて次のような状況を理解しました。
■ 子どもたちは小学校に入学しても、すぐに行くのをやめてしまう
通学できる範囲に小学校があるが、
ひとつは子どもたちが知らないテルグ語で授業が行われている。
子どもたちが理解できるタミル語やカンナダ語の学校の先生は、
遠くの町に暮らしていて、一週間のうち1、2日しか学校に来ない。
そのため子どもたちは学校に行くよりも、
家畜の世話や、森の中で採集など、家の手伝いをする。
■ 女性や子どもの健康状態がよくない
女性・子どもの多くが貧血症で、特に子どもには栄養失調、低体重がみられる。
男女とも早婚で、10代で結婚・出産する女性が少なくない。
ほとんどの女性が自宅で出産しており、妊産婦や新生児の死亡率が高い。
スターリンさんは物資を配って話しを聞くだけでなく、
健康のために自分でできることをやるようにアドバイスしました。
家の中や周辺を掃除し、用足しの後や食事の前に手洗いをして、
個人衛生を向上させることの大切さを教えました。
イルラの人たちは、スターリンさんとの交流を通して、
暮らしを良くしたいと思うようになりました。
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第5回「イルラの人たち、問題を話し合う」は、6月17日(木)です。
職員 髙田弥生