南インドの元研修生の活動のご紹介です。
この活動を支援してくださっている公益信託 アジア・コミュニティ・
トラストの2019年度年次報告書より、抜粋です。
職員髙田
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事業名:10村で住民主体の水管理システムできる、
住民主導による灌漑用伝統貯水池の管理体制整備
実施団体:革新的トレーニングのためのアジア・ネットワーク・トラスト
Asian Network for Innovative Training (ANITRA) Trust
タミルナドゥ州ティルヴァルール県には、約500年前に建設された
灌がい用池が1,236あり、住民主導で管理されていました。しかし、
不十分な管理と水の不足により農業活動日数は年間100~130日から
40~60日間に激減しました。
本事業は(公財)アジア保健研修所(愛知県)の国際リーダーシップ
研修を受けたスタッフが中心となり、10村の住民が主体となり水路や
貯水湖を管理するシステムへ移行することを目指し、本年度は4村
(サランジェヤプラム、ヴェランジェリー、ペルマナルル、
ヴェリアガラム)、3年間で10村をカバーしました。
1. 各村の水不足状態の把握と意識啓発
4村 で 計260人 が参加し「水収支予算書」を作成した結果、
少なくとも年間1.1億リットル、最大で12.5億リットルが不足している
ことが判明しました。
また644人の中・高生が飲料・給食用、トイレに必要な水の量と
供給可能量の差を算出し、解決するための校内委員会が発足しました。
住民が行った生物多様性調査の結果をもとに村の持続可能な開発計画に
盛りこむための提言を行いました。
このほか、マイクロ灌漑や、少ない水量で栽培できる作物への転換などに
ついてのトレーニングを行いました。
2. 住民組織の設立
ビジョン、ミッション、目標などを策定するワークショップに131人が参加し、
住民組織が設立されました。
今後は、小・零細規模の農業、貯水湖での漁業、畜産に携わる住民や
土地なし農業労働者などが中心的役割を果たす住民組織が、この活動を継続して
推進します。以上3年間の活動で、10村の住民が気候変動に対応するための
知識や技術を習得し、次世代リーダーとなる子どもたちも参加することで、
地域全体で大きな変化が起きています。