昨年からのコロナ禍。人との距離、人との関係が語られることが
多くなったように思う。そんな中、AHIを応援してくださっている
志賀内康弘さんのサイトにあった記事から紹介したいと思う。
志賀内さんは世の中の「ちょっといい話」のコラムを書いて
いらっしゃる方で、AHIも何度か紹介してくださったことがある。
山本さんという方がインドに行かれたときの話。
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“You must be Japanese.“(おまえは日本人に違いない)
十五歳くらいの彼はそう言って妙に楽しげにずっと僕に話し掛けてきた。
それでも僕は無言を貫いていた。すると彼は僕の前に立ち、突然こう言ったのだ。
「世田谷、阿佐ヶ谷、ブッダガヤ!」
僕は声を上げて笑った。完全に負けた。観念した僕は彼から絵葉書を数枚買い、
屋台で彼にコーラを奢った。少年と川辺に座りガンジス川に沈む夕陽を
一緒に見ていたら不思議とそれまでの疲れが消えていった。
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私自身はインドには今までに2度行っただけなのだが、なんとなく
こういう場面は想像できる。何度かスタディツアーの担当者として
アジアの国々に出かけたとき、空港で荷物を運んであげると寄って
くる人たちの流れに逆らって、要らない要らないと振り払いながら
やっとターミナルの外に出る。お土産物屋さんで値切るのは
楽しいけれど、そのうち疲れてきてしまう。スリランカツアーの
ときも結局メンバーの人たちは、政府公認の「正札」のお店に
行きたいと言ったっけ。
「完全に負けた」というのも何となくわかる。
(でも何に負けたってことだろう??)
したたかさ、たくましさ、それから。。。
例年3月下旬にスタディツアーを行ってきたが、去年、今年と
中止せざるを得ないこの状況。これまで「生きる力をつかむ旅」
とうたってきたものは何だったか、じっくり考える時間を
持つことができるし、それをしなければと思う。
職員 はやしかぐみ